シナリオ 無機質なふたり その1
2000年9月27日 無機質なふたり
○駅(遠景・夜・冬)
駅ビル。
多くの人が行き交う大きな駅。
○駅ビル・中
駅と駅との通路。4.5組の少年たちの
グループが歌を歌ったり、ダンスを踊ったり
している。
街の人々は、寒がりながら早足で通り
過ぎる。
何人かの若者やカップルは流行のバンドの
コピーをしている少年の前で、足を止め聞き
入っている。
少し暗がりの通路のタイルの上で直也が座っ
てギターを弾いて歌っている。
しかし、直也の前には人だかりはなく、ちら
っとも見ずに人々は通り過ぎる。
直也、ちらっとその人だかりをみる。
直也の耳から音が消える。
○駅ビル・中(回想)
直也、少し暗がりの通路のタイルの上で座っ
てギターを弾いて歌っている。
前には高校生の女の子、2人が座っている。
直也、1曲歌い終わる。
高校生「ゆずとか19とかやればいいのに。
そうしたら人も集まるよ」
直也「(さみしく)そうだね。」
直也、次の曲の用意をする。
直也「(女の子に)ありがとう」
直也、再び歌い出す。
女の子2人、立ち上がって帰る。
○駅ビル・中
直也、歌っている。
直也N「別にゆずになりたくてここにいるんじゃな
いんだ。気持ちよく歌って、その上、お金
なんか稼ごうなんて思っていない。みんな
にもてようなんて思っていない。ただ、食
事をするように、好きな歌を歌っているだ
けなんだ」
直也、歌い終わり、ちらっと前を見る。
少し離れた花壇の渕に、襟と袖はウールにな
っている白いコートを着た女の子・葵が座っ
ている。
葵はこっちを見ているようでもあるし、ぼぉ
ーとしている。
直也、葵を見て目をそらし、また葵を見る。
直也、歌い出す。
× × × ×
コピー少年たちが帰る。
明るい場所が空く。
直也、そちらに移る。
葵は前と同じようにこっちを見ているようで
もあるし、ぼぉーとしている。
直也N「誰かを待っているのかな?」
直也、真っ黒な空を見上げて歌う。
直也、葵を見る。
葵も直也を見る。
直也、照れくさそうに鼻で笑って、2番を歌
う。
ギターケースにつり下げていたライブのチラ
シがすれ違う人の通り風に、ひらりと舞い上
がり反対側にめくれる。
葵、両手を花壇のブロックにつけて立ち上が
り、ゆっくりと直也の正面に向かって来る。
葵、直也の目を見て歩いてきて、そっとしゃ
がんでチラシを直し見上げた目で少し笑う。
少し肩をすぼめて、
直也「ありがとう」
葵「となりに行っていいですか?」
葵、恥ずかしそうに直也の目を覗き込む。
直也「もちろん」
間奏が終わり、コーダ。サビ。
そして曲が終わった。
葵「いつも駅で歌ってるんですか」
直也N「その笑顔はまるで冬のようだった。
ボクの表現はいつも抽象的で、一般的で、
的外れだ」
直也「いつも練習しようと思っていて、ついさぼる
んです。もうそろそろ帰ろうかと思っていま
した」
葵、笑顔のまま。
× × × ×
○駅(遠景・夜・冬)
駅ビル。
多くの人が行き交う大きな駅。
○駅ビル・中
駅と駅との通路。4.5組の少年たちの
グループが歌を歌ったり、ダンスを踊ったり
している。
街の人々は、寒がりながら早足で通り
過ぎる。
何人かの若者やカップルは流行のバンドの
コピーをしている少年の前で、足を止め聞き
入っている。
少し暗がりの通路のタイルの上で直也が座っ
てギターを弾いて歌っている。
しかし、直也の前には人だかりはなく、ちら
っとも見ずに人々は通り過ぎる。
直也、ちらっとその人だかりをみる。
直也の耳から音が消える。
○駅ビル・中(回想)
直也、少し暗がりの通路のタイルの上で座っ
てギターを弾いて歌っている。
前には高校生の女の子、2人が座っている。
直也、1曲歌い終わる。
高校生「ゆずとか19とかやればいいのに。
そうしたら人も集まるよ」
直也「(さみしく)そうだね。」
直也、次の曲の用意をする。
直也「(女の子に)ありがとう」
直也、再び歌い出す。
女の子2人、立ち上がって帰る。
○駅ビル・中
直也、歌っている。
直也N「別にゆずになりたくてここにいるんじゃな
いんだ。気持ちよく歌って、その上、お金
なんか稼ごうなんて思っていない。みんな
にもてようなんて思っていない。ただ、食
事をするように、好きな歌を歌っているだ
けなんだ」
直也、歌い終わり、ちらっと前を見る。
少し離れた花壇の渕に、襟と袖はウールにな
っている白いコートを着た女の子・葵が座っ
ている。
葵はこっちを見ているようでもあるし、ぼぉ
ーとしている。
直也、葵を見て目をそらし、また葵を見る。
直也、歌い出す。
× × × ×
コピー少年たちが帰る。
明るい場所が空く。
直也、そちらに移る。
葵は前と同じようにこっちを見ているようで
もあるし、ぼぉーとしている。
直也N「誰かを待っているのかな?」
直也、真っ黒な空を見上げて歌う。
直也、葵を見る。
葵も直也を見る。
直也、照れくさそうに鼻で笑って、2番を歌
う。
ギターケースにつり下げていたライブのチラ
シがすれ違う人の通り風に、ひらりと舞い上
がり反対側にめくれる。
葵、両手を花壇のブロックにつけて立ち上が
り、ゆっくりと直也の正面に向かって来る。
葵、直也の目を見て歩いてきて、そっとしゃ
がんでチラシを直し見上げた目で少し笑う。
少し肩をすぼめて、
直也「ありがとう」
葵「となりに行っていいですか?」
葵、恥ずかしそうに直也の目を覗き込む。
直也「もちろん」
間奏が終わり、コーダ。サビ。
そして曲が終わった。
葵「いつも駅で歌ってるんですか」
直也N「その笑顔はまるで冬のようだった。
ボクの表現はいつも抽象的で、一般的で、
的外れだ」
直也「いつも練習しようと思っていて、ついさぼる
んです。もうそろそろ帰ろうかと思っていま
した」
葵、笑顔のまま。
× × × ×
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